メバル船釣考
船釣りでは中物釣りのメバルは、伊勢湾では初冬から春に狙うことの多い魚です。なんと言っても食べて美味しい事が何よりです。特に煮付けは最高に美味しい。骨から身離れもよく、甘辛でもっちりと口の中に広がる濃厚な味は、久しぶりに食べると『涙もん』です。逆に塩焼きにすると、あっさりしていて、何匹でも食べてしまいます。釣った魚でなければ味わえない贅沢な話です。また刺身も美味しいのですが、チョット独特の味があり、好き嫌いの分かれるところです。僕は刺身に限っては一緒に良く釣れるカサゴの方が好きですが、煮つけではメバルにかないません。 この魚も以前はたくさん釣れた魚ですが、段々と釣れなくなって来ています。只、ありがたいことに、この2,3年は何故かまた良く釣れるようになってきました。大きくなるのに年月のかかる魚なので、小型はリリース、できたら抱卵時期は釣らないようにしたいものです。 仕掛けは胴突き仕掛けです。食い渋りの時はハリスを長めにしますが、春先のようにメバルがたくさん群れている時は、ハリスを短かくして、その分ハリ数を多くします。ハリスの太さは0.8〜1.5号、ハリ数は3〜8本をを状況によって使い分けします。ハリスが細くて長い方がよく釣れますが、糸をからませたりパーマがかかったりして、手返しに手間取っているようでは、逆に太ハリスの方が良いようです。 ハリは釣り人の好みによりますが、渓流バリかチンタメバルの8号を使用しています。メバルの口は大きいので大きいハリの方が良さそうですが、メバルはエサを飲み込んで吐き出す時にハリ掛かりするようなので、小バリでも大丈夫です。エサの動きも良いような気がします。ただ、あまり小さいとバレが多くなります。 幹糸とハリスは直接結ばずに刺繍用のビーズを使っています。幹糸を中心に枝のハリスが回転するので糸絡みが少なくなります。市販品も有りますが自作すると市販品でない号数の組み合わせが出来るので、自分の考えで釣ったことになり満足感が得られます。しかし現実は厳しく、市販の方が良く釣れたりすることもあるので、その時は潮のせいや釣り座のせいにします。いずれにせよ釣りは仕事ではないので楽しみましょう。自作することが楽しければそれで良いと思います。 エサは一般的には湖産エビ(川エビ)を使いますが、イサザ、シラウオ、ハゼ、コウナゴ、ドジョウ、ウタセエビ等の時もあります。季節によって餌を変えますが、釣り宿で用意してくれます。ただ、ベテランは1,2品ぐらい違う餌を持参して、その日の当たりエサを探します。エビは尾を切ってチョン掛けします。こうしないとエビが回転して、ハリスが幹糸に絡むからです。絡むとメバルは釣れません。 仕掛けは何時でもサラッとして、綺麗な状態が食いがいいです。ですから、仕掛けを降ろすときもブレーキをかけながらゆっくり降ろしたり、場所移動や釣れた魚を外す時も、枝ハリスが幹糸や竿に絡まないように常に注意し、工夫することが大切です。枝バリの一カ所でも絡んでいると、他のハリも食いが落ちるような気がします。 メバル釣りは手釣りより、竿釣りの方が良いようです。竿は竿先が敏感に海底の様子を伝えてくれ、しかも胴に粘りのある竿が良いようです。いっぺんにたくさん釣ろうとするには、この竿の調子がものを言うようです。一匹掛かると他のハリにも勝手にメバルが乗ってきてくれます。操作性ではガイドのない中通しの竿が良いのですが、竿の調子はガイド付きの竿の方が僕は好みです。 さてのメバルのアタリですが、普通です。ただ食いがたって、活性が高く、良く釣れる時は、食い上げと言って、糸が引っ張られるのではなく、仕掛けが持ち上がるように軽くなってから引きます。こんな時は『大釣りの予感』です。アタリが出たときはもうハリ掛かりしていますから、アワセはしない方が良いです。『むこうアワセ』と言います。無効アワセではありません。かえって合わせると魚が外れます。 また、最初から大きいアタリがあるときは、仕掛けの上の方で掛かったということで、ゆっくり、やさしく仕掛けを上げながら追い食いを待ちます。割とアタリが小さい時はオモリに近い所に乗っています。この辺の事と海底の様子をイメージして、ダブル、トリプル、その上を狙います。しかしあまり長く待ちすぎるのも、根掛かりやオマツリの原因になります。大釣りする時はタナが上の事が多いようです。魚が根から出ている時だから、当たり前と言えば当たり前ですが、釣り人はついつい底を狙ってみたくなるものです。 竿のしないと重さを感じながら巻き上げてくると、水面近くで必ずもう一度引いて、あばれます。これはメバル独得の引きです。後は仕掛けを緩めずに船内に取り込み、手返しよく、魚をハリから外しながら餌を付け、次の投入の準備をします。この手返しいかんによって、一日の釣果がかなり違ってきます。 船のカンコ(魚を生かしておく所)を使えるときは、釣れた魚を外すときに、ついでにメバルの腹を針で刺して空気を抜いておきます。そうすると元気にカンコの中で泳いでいます。そして釣り終わったらまとめて魚をシメたほうが、美味しくメバルを食べられます。家に持ち帰って魚を開いた時、肝の色を見ると、乳白色であれば、上手にシメて血抜きができた魚であることが分かります。 |